API経済の拡大とこれからのエンジニア像
こんにちは。
Itoopの松永です。
ここ数年、IT業界では「API経済」というキーワードが注目されています。
もともとAPI(Application Programming Interface)は、ソフトウェア同士が連携するための技術要素として知られていましたが、今では企業戦略やビジネスモデルそのものに影響を与える存在となりつつあります。
本記事では、API経済とは何か、なぜいま拡大しているのか、そしてその背景とともに、これからのエンジニアに求められる視点やキャリア形成について紐解いていきます。
「APIは知ってるけど、実際どんな変化が起きてるの?」「技術としてだけでなく、どう向き合えばいい?」そんな疑問を持つエンジニアの方にこそ読んでほしい内容です。
そもそも「API経済」とは何か?

「API経済」とは、API(Application Programming Interface)を介して企業やサービスが連携し、新たな価値を生み出す経済圏のことを指します。
もともとはシステム同士をつなぐ技術的なインターフェースであったAPIが、いまや企業間の連携やビジネスモデルの核となっており、これを土台にした「経済」が成立するほどに進化しています。
たとえば、地図、決済、チャットなどの機能を自社のプロダクトにAPIで組み込むことで、開発スピードを飛躍的に高めることが可能です。APIの公開は、企業にとって自社の資産(機能やデータ)を「サービス」として外部に提供し、新たな収益を生み出す手段にもなっています。
つまり、APIは技術の一要素から、ビジネス戦略の一部へと進化しているのです。
なぜ今、API経済が拡大しているのか?

背景には、ソフトウェア開発のスピードと柔軟性に対するニーズの高まりがあります。
あらゆる業界で「DX(デジタルトランスフォーメーション)」が進むなか、自社でゼロからすべてを開発するのではなく、信頼性の高い外部サービスを組み合わせて迅速にプロダクトを作り上げる発想が主流になってきました。
また、クラウドサービスの普及もAPI経済を後押ししています。SaaS同士の連携や、マイクロサービス化されたシステムアーキテクチャでは、APIはもはや“前提条件”ともいえる存在。
加えて、生成AIやIoTといった新技術もAPI連携をベースに進化しており、技術の発展がさらにAPIの存在感を高めているのです。
具体的な事例から見るAPI活用の進化

たとえばEC業界では、決済サービスの「Stripe」や配送APIを用いることで、スタートアップ企業が短期間でスムーズなオンラインショップを立ち上げることが可能になりました。
また、旅行業界では「Expedia」「Skyscanner」などが提供するAPIを使って、他社のホテルや航空券情報を自社のアプリに組み込むといった連携が当たり前に行われています。
こうした事例は、APIが単なる技術的な部品ではなく、「開発の前提」であり「ビジネスモデルそのものの一部」になっていることを示しています。APIは“開発スピードの武器”であり、同時に“他社との共創を可能にする仕組み”でもあるのです。
エンジニアに求められる役割の変化

このような変化のなかで、エンジニアに求められる役割も変わってきています。
APIを“使う”だけでなく、“設計し、公開し、戦略的に活用する”視点が必要とされているのです。
たとえば、あるシステムのAPI設計においては、エンジニアが単に技術的要件を満たすだけでなく、使いやすさやスケーラビリティ、セキュリティ、さらにはビジネス的な価値まで意識する必要があります。
「APIの利用者が誰か?」「どんな体験を提供するか?」といった視点が、これまで以上に重要になってきているのです。
フリーランス・若手エンジニアこそ知っておきたいこと

とくにフリーランスや20〜30代の若手エンジニアにとって、API経済の流れを理解しておくことは大きな武器になります。
APIを前提とした開発が主流になればなるほど、APIを「使う力」や「評価する目」、さらには「設計・管理するスキル」が重視されるようになります。
また、APIの活用が進むことで、業務領域の壁も曖昧になります。開発・インフラ・PM・デザイナーなど多職種との協業が前提となり、幅広い視野と対話力が必要になります。
フリーランスとしての案件獲得や、将来的なステップアップを見据えたときにも、APIを軸とした視座を持つことが差別化につながるでしょう。
これからのキャリア戦略にどう活かすか

今後のキャリアを考えるうえで、API経済の理解は「技術をどう活かすか」「どんな領域に強みを持つか」を考えるヒントになります。
特に、PMやITコンサル、アーキテクトなどを目指す人にとっては、「APIを含めた全体設計の視点」「顧客に価値提供できる連携戦略」など、ビジネス×技術の両面が求められます。
日々の開発業務のなかでも、「なぜこのAPIを使うのか?」「この連携がどんな価値を生むのか?」といった問いを意識することで、視座がぐっと上がります。
キャリアを“守る”ではなく“拓く”ために、APIを戦略的に捉えることが、次の一歩につながっていくのです。
API経済を知ることは、未来のエンジニアキャリアを描くこと

APIは、単なる技術ではなく、価値をつなぎ、開発を加速させ、サービスの可能性を広げる経済インフラです。
その重要性は今後ますます高まっていくでしょう。
今このタイミングで、API経済という視点をキャリアに取り入れておくことは、「変化を先取りする力」につながります。
トレンドを知り、技術とビジネスの両面を意識した開発姿勢を持つことで、エンジニアとしての選択肢と価値は大きく広がるはずです。
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【島袋尚美(株式会社ゆいまーる 代表取締役社長)】
『若者のエンパワーメントを通じて、日本を元気に』を理念に、2016年に株式会社ゆいまーるを設立。Itoop(ITエンジニアキャリア支援/ITコンサルティング)、JUNGLE BREWERY(クラフトビール事業)、甘酒・雑貨かふぇ こめどりーみんぐ(飲食店)、Carellia(キャリア支援)など複数の事業を展開。ママ社長として、2児の子育てにも事業にも奔走中。
HP:http://yuima-ru-tokyo.com/
広報部note:https://note.com/yuimaru_tokyo
【島袋尚美の経歴】
沖縄県出身。筑波大学卒業後、ITエンジニアとして証券会社に入社。
入社2年目で日本IBMに転職し、同時にダブルワークで立ち上げの準備を開始する。
28歳で独立し、2016年に株式会社ゆいまーるを設立。
現在は国際結婚を機に子育てをしながら、ママ社長として複数の事業を精力的に展開中。
その活動は広く注目され、「Vogue」や「沖縄タイムス」をはじめとする多数のメディアで掲載される。

